名物にうまいものはなしという言葉がある
過度な期待のせいで
案外普通の味にがっかりする
ということらしいが
その過度な期待を無くせば
名物にうまいものはなし
等と言うことはないと思う
そもそもただの食品に
過度な期待を持つ方が阿呆なのである
そもそも名物は郷土料理の中で
味や見た目の優れたものであり
不味いものは郷土料理から名物にランクアップすることは出来ないと私は考えている。
私の実家の話をしよう
日本でも長野県下でも珍しい
虫を食べる地域である。
郷土料理として
イナゴ、ハチノコ、ザザムシ、蚕の蛹
これらの佃煮が郷土料理である。
特にザザムシは
日常的ではなく祖父母の家で何故かハレの日に出る
特別な物であった。
しかし、昆虫から貴重なタンパク質を摂取していた先人達の郷土料理は
味の悪さから私の実家ではけして出ず
名物になる前に淘汰されつつある
(今の時代なら逆に昆虫食は受けそうな気もするが地域出身者に多大なる風評被害を与えかねないのでこのまま消えるほうが平和かもしれない)
このように不味い郷土料理は名物になる前に淘汰される
栃木県にしもつかれという郷土料理が存在する
昔栃木の友人に食べさせてもらったこともあるが
あれも名物になる前に淘汰される運命にあるだろう
おそらく全国にはこれらのように名物になり得なかった郷土料理がごまんと存在する
それらの屍を超えて
今や全国区で名のしれた名物に
不味いものなどあるはずがない
仮に存在するとすれば
それはネット社会のSNS文化が生んでしまった
歴史の浅いエセ名物だけであるに違いないと
私は努努鶏を食べながら思った次第である